インフラファンドの税務上の導管性

 さて、リートやインフラファンドが一般の上場企業と異なる最大の特徴が、「税務上の導管性」すなわち「投資法人から投資主に対して支払われる配当等の額を、投資法人が損金の額に算入することができる状態」であることです。税務上の導管性が認められることにより、投資法人段階での課税と投資主段階での課税の二重課税が排除されることになります。
 特に平成28年3月31日に公布され、同年4月1日に施行された「租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令令(平成28年政令第159号)」により、導管性を認められる期間が10年から20年に延長され、インフラファンドがが匿名組合契約を通じて再生可能エネルギー発電設備に投資することに対する税務上の制約が緩和されることになりました。

 当然ですが、ここで20年後に税制がどうなるのかという疑問が発生します。仮に「税務上の導管性」が確保できなければ、インフラファンドの利益に通常の企業と同じく法人税が課せられ、配当原資が大幅に減少します。その配当金にも課税されるので、インフラファンドの購入メリットが大きく減少することは目に見えています。
 しかし、国は2030年度に再生可能エネルギー(水力除く)の比率を、5倍程度に拡大させることを目指しています。その後も再生可能エネルギーの比率の拡大は地球規模での課題だと考えられますし、インフラファンドの拡大は課題解決に直結します。というわけで、リートと同様に恒久的な税務上の導管性の確保は実施されるのではないかと考えています(注:あくまで私個人の考えです)。

 税の導管性とは直接関係ありませんが、インフラファンド自体が売電を行えばコストダウンにつながり、予想以上に売電した分は100%還元されますので、配当もさらに引き上げられるのでしょうけど、現状では認められないみたいですね。
(今回のブログ記事は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の資料を参考にさせていただきました)

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インフラファンドと金利

 さて、前回の記事で「インフラファンドは本当にインフレに弱いのか?」「FITの買取価格が下がり続けているけれどどうなのか?」という点について考えてみましたが、今回は私が考えるところのインフラファンドにとっての最大のウィークポイントと思われる金利について考えてみましょう。
 例えば、日本再生可能エネルギーインフラ投資法人ですが、平成29年7月期の決算短信を見てみると、長期借入金が4,554,012千円となっており、支払い利息が17,968千円となっています。金利でいえば年率約0.4%となりますが、これが1.0%になると約45,000千円となります。経常利益は21,107千円ですが、来期以降は不要と思われる投資口交付費を差し引くと84,867千円、もし利払いが上記の約45,000千円となったら、57,835千円まで3割以上目減りします。
 そして利上げが起こったとしても、発電した電力を固定価格以上で売ることはできませんので、おそらくそれをベースに賃料が決まっているインフラファンドの場合は単純に利払い費用が増えるだけです。景気回復や物価上昇に伴って金利が上がると考えられるので、通常の会社やリートの場合はその分と相殺されるかプラスになる可能性もありますが、インフラファンドの場合はマイナス面しか発生しません。
 当然ながら、金利上昇時にはそれを悲観して過剰に売られる可能性がありますので、バリュー投資という側面から見れば絶好の買いチャンスとなる可能性があります。また、現状のカナディアンソーラーのように借入金にほとんど頼らない状態の場合は、影響を受けにくいと言えるでしょう。

(2018/2/28 追記訂正しました)

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インフラファンドとインフレ、固定価格買取制度

 日本で上場しているインフラファンドは、現在のところ太陽光発電にフォーカスして投資しています。太陽光によって発電された電力はいわゆる「固定価格買取制度(FIT)」によって一定期間の買取価格が保証されることから、安定した売上が見込め、それらの設備を保有しているインフラファンドは安定した収益を得ることができ、投資家に安定した分配を実施できることが特徴です。その反面、その買取価格は物価の推移に関わらず一定であるため、インフラファンドへの投資はインフレに弱いとされています。
 2013年に2%のインフレターゲットが導入されていますが、仮にこの目標通りに物価が上昇すれば、35年で約2倍になるはずです。一方、インフラファンドは現在6~7%の利回りで推移していますので、税引き後でも4.8~5.6%の利回りになります。配当を再投資し、やや割り引いて4.5%の複利で運用した場合16年で2倍、35年間運用すれば4.7倍になります。少し考えれば当たり前のことですが、物価上昇率を上回る利率で複利運用できれば良いのです。現実的には、インフラファンド単独ではなく、一般的にインフレに強いとされている株式やリートと組み合わせて運用し互いの弱点をフォローし合うことになるでしょう。

 また、「固定価格買取制度(FIT)」の価格が年々下がっていますが、その一方でパネルの量産や発電の効率化により、発電コストも下がっているようです。ということは、仮に買取価格が下がっても発電設備を妥当な価格で確保できれば、今までと同じ利回りは確保できることになります。わかりやすくいえば、買取価格が半分になっても、発電設備が半額になれば利回りは同じということです。

 ということで、まだ買っていなかった9284カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人を本日買付けましたので、上場インフラファンド4社を全てマイポートフォリオで保有しました。資産の中での比率はまだまだ小さいですが、超安定した高利回りを確保できそうな投資対象として今後も徐々に組み入れるつもりです。

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インフラファンドが減価償却を全て再投資したらどうなるか その2

 昨日はインフラファンドの特徴である毎年発生する施設の減価償却を利用して、この減価償却をそのまま新規の発電施設取得に使った場合どうなるのかを考えてみました。その際の前提はこのようになっています。

・取得した施設の減価償却期間は20年とする
・減価償却費を全額、施設取得に充てる
・20年間フル稼働し、賃料から経費・減価償却を除くと2.5%の利回りが得られる設備を取得する
・取得した設備は、20年後に無価値になり、賃料もゼロになる

 ここで、投資家の利回り向上のために借入を利用して資産を追加することを考えてみます。
 昨日の取得資産を全て「資本金+減価償却費のみで実施した」と仮定し、その50%を限度に借り入れを実施して追加の施設取得に充てることにします。追加取得資産の前提は以下のようにします。

・追加取得した施設の減価償却期間は20年とする
・減価償却費を全額、借入の返済に充てる
・20年間フル稼働し、賃料から経費・金利・減価償却を除くと1.5%の利回りが得られる設備を取得する
・取得した設備は、20年後に無価値になり、賃料もゼロになると同時に、負債もゼロになる。

 理論的にはその時点の総資産×50%を追加資産として保有することになり、その分に1.5%の利回りが得られたとすると、以下のようになります。当然ながら利回りは20年目に向かって向上し、その後一旦下がり、最終的に約6%の利回りに収束します。実際には100%の追加くらいは普通だと思いますので、さらに利回りが向上し、投資対象としての魅力が向上します。

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インフラファンドが減価償却を全て再投資したらどうなるか

 ここ2週間くらいインフラファンドについて色々調べていたのですが、検索で出てくるようなことはアナリストその他の方がほぼ同じようなことを言及されています。マーケットが小さいこともあり、機関投資家が投資対象として本格的に参入できないこともあるのか、本腰入れて研究しようという人もいないようです。
 さらに、上場インフラファンドは100%太陽光発電設備の賃貸収入で、投資対象や分配方針などに多少の差異があるものの、事業内容に大きな差はありません。ほとんどが「20年間は電力の買取価格が保証され、賃料の安定収入が見込める」「予定以上の発電によって上ブレる可能性がある一方で、インフレには弱い」「税務上の導管性が認められる期間の延長が求められている」といった内容でした。
 インフラファンドの大きな特徴として、毎年施設の減価償却が発生しますが、大きな資本的支出がないため、ほぼキャッシュで積み上がります。そのため、負債の返済や分配金の上乗せに活用されていますが、この減価償却をそのまま新規の発電施設取得に使った場合どうなるのかを考えてみました。
 計算を簡単にするために、次のような前提とします。

・取得した施設の減価償却期間は20年とする
・減価償却費を全額、施設取得に充てる
・20年間フル稼働し、賃料から経費・減価償却を除くと2.5%の利回りが得られる設備を取得する
・取得した設備は、20年後に無価値になり、賃料もゼロになる

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 以上の前提で計算したのが上の表になります。1年目に投資した資産を100とし、その減価償却費が20分の1(=5)発生するので、それを原資に施設を取得し、2年目の総資産が105となります。これを繰り返すと20年目までは複利効果で資産が増え続けますが、21年目には1年目に取得した施設、22年目には2年目に取得した施設が無価値になり、賃料がゼロになります。残った施設の賃料収入のみとなりますので、大きく利回りも下がります。
 20年目に総資産と利回りがピークになり、21年目に大きく減った後は、概ね190前後、元本に対する利回りは平均4.8%前後で収束します。おそらく収束のさせ方があると思うのですが、数学の知識に乏しい私にはわかりません……。
 減価償却費の一部を配当として還元してくれるのは有難いのですが、配当しなければ無税で積み立てて再投資するのと同じ効果が得られるので、できればそうしてくれないかなと妄想中です。ここにレバレッジをかけて設備を取得すれば、金利を引いても利回りは向上します。
 まあ、こんな机上の理論通りにはいかないと思いますが、数年後には太陽光以外の設備にも投資すると思いますので、分散も効いてさらに安定した投資対象となるのではないでしょうか。

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vis2004tachikawa

Author:vis2004tachikawa
個人投資家の立川一(たちかわ はじめ)です。
投資スタイルはバリュー投資からスタートし、最近はグロース投資に軸足を置いています。受取配当金の増加を重視し、良いビジネスを持ちキャッシュの創出能力のある銘柄に投資していきたいと考えています。結果として資産も緩やかに増加すると理想的です。日々の株価に、四半期決算に大いに一喜一憂します。基本的に短視眼的なのです。そんな自分の気持ちに正直に、でも投資はゆるやかに進めて、経済的・精神的に豊かな人生を目指します。投資をしながら「資金管理も含め自分が継続可能で長い時間軸で考えて勝ち続けることのできる手法を取っているかどうか」を常に確認します。
どうぞよろしくお願いします。

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